登録支援機関ってなあに?|特定技能

15 7月

今さら感もありますが、今回は2019年4月に制度ができた在留資格「特定技能」に伴い、 新しくできた機関である「登録支援機関」の登録方法等を解説したいと思います。

そもそも、登録支援機関とは?

はじめに、登録支援機関って何?という話ですが、

簡単にいうと、新しい在留資格「特定技能」を持つ外国人の日本での生活等を支援する機関 です。

特定技能外国人はN4程度(留学生の場合もっと日本語能力は高いでしょうが)を基本的には想定しており、日本での生活に苦労するでしょう。

ということで入管により承認を得た機関がサポートしましょうね。ということになっています。

①特定技能外国人を採用する場合は、所属機関(=外国人を雇用する企業)

②登録支援機関(=所属機関から支援を委託された機関)

上記の2つの機関のどちらかが日本での生活をサポートすることが必須です。

このサポート(支援)は、適当にすればいいというわけではなく、

在留資格の申請時に、法定の支援内容をすべて満たした支援計画を作って、

入管に認められた場合のみ、在留資格の許可がおります。

基本的に、これらの支援は外国人を雇用する企業が行うこととされていますが、

自社で支援体制を整えることが難しいときは、

「登録支援機関」に支援を委託することができます。

(ただ、外国人が十分理解できる言語で、事前ガイダンス、生活オリエンテーションをしたり、相談苦情対応体制等を整えたりしないといけないので、実際のところ、ほとんどの企業さんは自社で支援体制を整えるのは難しく、登録支援機関に委託することになると思います。)

この「登録支援機関」は、入管に登録を申請して、許可される必要があります。 登録後には入管のHPにも掲載されます。ちなみに直近の登録数は4,733件だそうです。(2020/7/9現在)

どんな事業者がなれるの?

よく比較される技能実習制度の「監理団体」と比べて、

営利を目的としない法人という要件はありません。

株式会社や合同会社、社会保険労務士や行政書士などの士業はもちろん、個人事業主でもなることができます。

わざわざ非営利団体(事業協同組合、商工会等)を設立する必要はないということですね。

(※もちろん非営利団体や監理団体も登録できます。監理団体については、先月のブログ「監理団体ってなぁに?」もご参考ください)

要件はどんなものがあるの?

法人や役員が5年以内に入管法、労働法などの関係法律の刑罰を受けたことがない、

暴力団関係者でない等の欠格要件はありますが、

いわゆる一般的な企業が登録をしようと思ったときに一番ネックになる点は支援責任者、支援担当者になれる人がいるかどうかです。

こちらをご参考ください。(無断転用だめですよー。)

まあ、ちょっとそのままでは誤解な部分もあるのですが、大枠の理解には問題ないかと。

登録支援機関は外国人の支援をするための機関ですから、

外国人(※ただし技能実習や技人国等の就労を目的とした中長期在留者に限られます)を雇用した実績がある企業や、 

②業として外国人のビザ申請や労務相談にのってきた行政書士や社会保険労務士等の士業

等が対象として想定されています。この場合は支援責任者・担当者に支援経験は必要ありません。(常勤の人を選任する必要はあります。)

ただ、上記①、②以外の場合は、今まで外国人を支援した経験のある支援責任者・担当者(常勤)が必要になります。

過去5年間に2年以上、外国人(※①の外国人と同様、就労を目的とした中長期在留者)の生活相談業務に従事した経験がある人を支援責任者・支援担当者に選任(兼任可)

することで、登録支援機関になることができます。

「生活相談業務に従事した経験は、件数は特に定められていません。

極論、年に1件でも経験があるとは言えますが、あくまで「業務」従事経験ですので、

無償で従事した場合や、職業紹介事業者が求人情報を紹介する行為だけでは認められませんのでご注意ください。

また、上記の要件に該当しない場合でも、

④ ①~③までの者と同程度に支援業務を適正に実施できる者

例:主に上場企業や前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収額が1,000万円以上の大企業(いわゆる在留資格申請時の「カテゴリー2」以上の企業)、業界団体、公的法人等の場合 等

も認められます。

また、支援責任者・支援担当者は、中立性・適正性確保のため、次に該当する者はなることができません。いわゆる、欠格(登録拒否自由)ですねー。

・過去5年間に特定技能所属機関の役員又は職員であった支援責任者
・特定技能所属機関の役員の配偶者、2親等内の親族のほか、特定技能所属機関の役員と社会生活上密接な関係を有する支援責任者
・登録拒否事由(法第19条の26第1項第1号から第11号まで)のいずれかに該当する支援責任者・支援担当者
① 禁錮以上の刑に処せられた者、
② 出入国又は労働に関する法律に違反し,罰金刑に処せられた者、
③ 暴力団関係法令,刑法等に違反し,罰金刑に処せられた者、
④ 社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し,罰金刑に処せられた者、
⑤ 精神機能の障害により支援業務を適正に行うに当たっての必要な認知等を適切に行うことができない者、
⑥ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 等
欠格要件(はしょってるからちゃんと法文見てくださいね)

支援内容はどんなものがあるの?

支援内容で必須で行わなければならないもの(義務的支援)は、以下の10項目です。

また、支援業務は他の機関に再委託することはできないので、

すべて自社で実施できるか申請前に必ず確認しておきましょう(とくに外国人が理解可能な言語に対応する通訳を確保できるかどうか)。

入国前の事前ガイダンス実施 ※外国人が理解可能な言語で実施 【実施後は事前ガイダンスの確認書(参考様式1-7)に外国人の署名が必要】 ・認定申請又は変更申請前に、3時間程度対面又はテレビ電話若しくはその他の方法で実施する。(ビデオ通話などにより本人であることの確認を行った上で実施し、文書やメールの送信のみではいけません)
外国人が出入国しようとする空(海)港での送迎 ※外国人が既に日本に在留している場合や一時帰国の際の出入国は除く
入国時:事業所又は当該外国人の住居までの送迎を行う
出国時:外国人が保安検査場まで同行し、入場するのを見届ける
適切な住居の確保及び生活に必要な契約に係る支援
・1人当たり7.5㎡以上の広さの住居確保(ただし技能実習2号での住居(1人当たり4.5㎡以上)に居住することを希望する場合を除く) 次の⑴~⑶のうちいずれかを行う ⑴賃貸物件の情報提供や不動産仲介事業者の紹介し、必要に応じて当該外国人に同行し、住居探しの補助をする。また、賃貸契約で連帯保証人が必要な場合、適当な保証人がいないときは連帯保証人になるか賃貸保証会社を確保し緊急連絡先となる。(保証料は所属機関等が負担) ⑵支援機関が賃貸契約を締結し、提供する。 ⑶受入企業が所有する社宅等を当該外国人の合意の下提供する。
・銀行その他の金融機関での預貯金口座の開設携帯電話の利用契約その他生活に必要な契約(電気・ガス・水道等のライフライン)に関する支援をする
契約手続を行う際に必要な書類や窓口を案内するとともに、外国人であることや日本語のコミュニケーション能力不足により契約が阻害されないよう、必要に応じて当該外国人に同行して各手続の補助を行う
入国後の生活オリエンテーション実施 ※外国人が理解可能な言語で実施 【実施後は生活オリエンテーションの確認書(参考様式5-8)に外国人の署名が必要】 入国後(又は変更許可後)遅滞なく実施し、少なくとも8時間以上、金融・医療・交通機関の利用方法、交通ルール、生活ルール・マナー(生活する地域のごみの捨て方など)、生活必需品等の購入方法、気象・災害情報の入手方法、日本での法令違反行為の例(銃砲刀剣類・違法薬物の所持、在留カードの不携帯、健康保険証の貸し借り等)を外国人が十分に理解できるまで行う。
上記④の履行に当たり、必要に応じ、関係機関への同行その他必要な支援をする
日本語学習の機会の提供
次の⑴~⑶のうちいずれかを行う
⑴日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内情報を提供し、必要に応じて入学手続の補助
⑵自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座情報を提供し、必要に応じて利用契約手続の補助
⑶外国人との合意の下、所属機関等が日本語講師と契約して、当該外国人に日本語の講習の機会を提供

支援対象外国人からの相談・苦情対応及び助言・指導 ※外国人が理解可能な言語で実施
【相談・苦情対応後は相談記録書(参考様式5-4)に記録し、関係行政機関への相談又は通報後は、当該外国人の支援実施状況に係る届出書(参考様式3-7又は4-3)に記載】
・相談又は苦情の申出を受けたときは、遅滞なく適切に応じるとともに、相談等の内容に応じて当該外国人への必要な助言、指導を行う
・必要に応じ、相談等内容に対応する適切な機関(入管、労基署等)を案内し、当該外国人に同行して必要な手続の補助をする
平日のうち3日以上、土曜・日曜のうち1日以上に対応し、相談しやすい就業時間外などにも対応できることが求められます(相談・苦情はいつ寄せられるか分からないことから、相談・苦情専用のメールアドレスの設置などにより可能な限り休日や夜間においても対応可能な体制を整えていること、また、事故の発生等緊急時の連絡先を設け、基本的にいつでも連絡が受けられる体制を構築することが望まれます。)。
日本人との交流の促進
・必要に応じ、地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い、各行事等への参加の手続の補助を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助をする
・必要に応じ、地域の行事に関する案内を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行して現地で説明するなどの補助をする
外国人の責めに帰すべき事由によらない雇用契約解除時は、他の機関への転職支援
【転職支援後は、当該外国人の支援実施状況に係る届出書(参考様式3-7又は4-3)に記載】
離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続等)について情報を提供し、次のいずれかを行う
・所属する業界団体や関連企業等を通じて、次の受入先に関する情報を入手し提供
・ハローワークその他の職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し、必要に応じて同行し、次の受入先を探す補助を行う
・外国人の希望条件、技能水準、日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう又は円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成する
・所属機関等が職業紹介事業の許可又は届出を受けて職業紹介事業を行うことができる場合は、就職先の紹介あっせんを行う
支援対象外国人及びその監督者との定期的(3か月に1回以上)な面談を実施 ※外国人が理解可能な言語で面談を実施
【面談後は、定期面談報告書(参考様式第5-5号及び第5-6号)を作成】
・必要に応じて④の入国後の生活オリエンテーションの情報を改めて提供する
・支援責任者又は支援担当者は、労働関係法令違反(長時間労働、賃金不払残業)等、問題の発生を知ったときは、その旨を労働基準監督署やその他関係行政機関へ通報する必要があります。
・支援責任者又は支援担当者は、資格外活動等の入管法違反、又は、旅券及び在留カードの取上げ等その他の問題の発生を知ったときは、その旨を地方出入国在留管理局通報する必要があります。
義務的支援業務一覧(抜粋)

入管への提出書類は?

  • 手数料納付書(新規登録時は収入印紙28,400円分)
  • 登録支援機関登録申請書
  • (個人の場合)住民票の写し
  • (法人の場合)登記事項証明書(謄本)、定款・寄付行為のコピー、役員全員分(監査役含む)の住民票の写し ※支援業務に直接関与しない役員は、誓約書の提出でも代替可
  • 支援責任者の履歴書、就任承諾書及び誓約書
  • 支援担当者の履歴書、就任承諾書及び誓約書
  • 支援委託手数料に係る説明書(予定費用)(参考様式第2-8号)

※企業に明示する支援委託費用(1名あたり)の月額をご記入ください。

手数料説明書には、すべての義務的支援内容ごとの項目を明示して報酬設定する必要がありますよー。入管に差し替え言われますよー。

上記の書類は、申請者の状況によって別途追加提出が必要になる可能性もあります。

提出書類的には、他の技能実習、特定技能関係の必要書類とは比べ物にならないくらい少ないです。(多くても1cm幅のクリップで止められるくらい)

技能実習生を受け入れたことがあったり、受け入れようと考えたことがある事業者さんからすれば、こんなものでいいの?と拍子抜けするかもしれません。

しかし、適切な支援体制を整えて、適切な人的要件を満たしているか等、

それなりにややこしい部分はあり、要件を満たしていないと当然登録はできませんので、

もし要件や登録方法でご不安な点がある場合は、申請実績が豊富な専門家にご相談ください。

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