皆さんこんにちは、行政書士の三好です。
今日は、技能実習制度における外国人技能実習機構の実地調査、特に監理団体に対する年1回の調査についてお話ししたいと思います。
当面の重点調査項目は送り出し機関との関係性(お金の流れ)!?
私は以前より監理団体の立ち上げや運営支援に関わらせていただき、多くの監理団体の顧問・外部監査等に就任させていただいております。外部監査人として監理団体の外部監査をしたり、外国人技能実習機構の実地調査に立ち会ったりする中で、たくさんの情報やノウハウを身につけることができました。まずは、外国人技能実習機構の外部監査の特徴についてお話ししたいと思います。
外国人技能実習機構の実地調査には重点項目が存在する!?
外国人技能実習機構の実地調査は、重点調査項目を決めているというような書きぶりが外国人技能実習機構の内部処理基準に記載されています。今までの実地調査を見てるとなんとなく、「確かに今年はこれが重点項目なのかな・・・」と思うことが多いです。そして、今年度のその項目が「送り出し期間との関係性」なのでは!?と思っている次第であります。外国人技能実習機構のホームページにも、送り出し機関とのキックバックなどを警告する案内が再度掲載されていましたよね。
送り出し機関の不適切な関係とは?
では、送り出し機関との関係において不適切なこととは、なんなのでしょうか?
もっともあからさまなNG事例はキックバックですよね。
これは、「うちはやってないから大丈夫です」って言われる監理団体さんでも外部監査に行ってみると「いや、まずいよ・・」みたいなのがあることが多いです。
基本的に、監理団体は送り出し機関との契約に定めた送り出し管理費を送り出し機関に支払い、その費用を受け入れ会社さんから精算してもらうと思います。
キックバックって、その管理費から一部監理団体役職員に送り出し機関が握らせるみたいなイメージがあるのですが、そうではありません。(もちろんそういう事例もあるようです)
例えば、送り出し機関との契約(機構に提出している)では送り出し管理費が月額1万円/人なのに、実はもう一本契約が存在していて(口頭契約も含む)、企業から1万回収するのに、送り出し機関には5千円しか払ってない、とか。
面接のための航空費や宿泊費を、送り出し機関に負担してもらっている、とか。
が主な事例ですね。
外国人技能実習機構はどうやって調査しているの?
機構は、技能実習法が成立し2年超やってきた調査の中で、上記に該当する疑いのある送り出し機関の一覧を持っているようです。ブラックリスト的な?(笑)そこと契約している監理団体を特に臨時的に調査しているのではと思われます。
そして、その送り出し機関との契約通りに支払い等が履行されているか、通帳や領収書・請求書等から全部確認します。
例えば、ベトナムの送り出し機関との契約だと、振込先口座まで指定されています。その、口座に入金していない場合も、即座にキックバックとなるわけではないのですが、怪しいし、そもそも契約違反だから改善指導書が切られます。海外送金だと手数料も高額になるし、現金でいいよと言うのはよくあるようですが、これも契約違反です。それなら現金で支払う契約書に差し替えの上、領収書を受け取る必要があります。
3月に一回、毎月、6月に一回など、頻度と額が契約通りかということも同様です。
渡航費等に関しても領収書や請求書その内訳の品目なども確認します。
なぜこのようなキックバック問題が起こるのか
これは、私見なのですが、送り出し機関の多くは、営業担当者が無数にいて、お客さん(監理団体との契約)をとってくるとマージンがもらえるのでしょう。その営業担当者が、いくつもの送り出し機関の名刺も使っていたり、担当者によって上記のようなキックバックを持ちかけたりというのがあるようです。なので、機構も送り出し機関契約時の担当者を確認します。
これらが発覚することによるリスク
今までの機構の調査で、備え付け書類が不備など指摘をされた監理団体さんも多いと思います。意外とやさしく改善期間等も設けてくれるので、「なんとかなるっしょ」と思ってる方も多いと思います。
しかし、この送り出し機関関係に関しては、「一撃許可取り消し」つまりレッドカードの可能性が非常に高いです。
「なんとかなるっしょ」で甘えていると痛い目に合うでしょう。
外部監査はプロに
ということで、いままで外部監査もとりあえず「やっつけで」という監理団体さんも多かったと思います。ちゃんと適切な知識と経験と判断力を持った専門家に任せないと、監理団体の存続にもモロに影響します。
ご相談等はお気軽にお申し付けください。